violaとMemorandum

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斜陽

『斜陽』読了

期間:3日間

感想:これほどまでに破滅を美しく書ききった本を初めて読んだ。特に好きな場面、印象に残った場面としては、始めのお母様のスープの食べ方の描写、作中に登場する『夕顔日記』、直治の遺書、最後の上原に宛てたかず子の手紙。

これは単なる私の感想でしかないが、最後の直治の遺書を読みながら何故か芥川龍之介の自殺が脳裏をよぎった。太宰は芥川の自殺を肯定的に捉え「作家はこうでなくちゃならない。」とまで言ったらしいから芥川のことが浮かんだのかもしれない。

人間失格』はよく自伝的小説と言われるが二つ読んだ私の感想では『斜陽』も自伝的小説なのではないかと思う。

直治がお母様から見たら可愛い息子で、しかし貴族という影法師から離れたくて、狂い、遊び、荒んでみた直治。最後の遺書では、全く楽しくなかったと吐露。哀しいですね。この世は生きにくいよ、というような感じを持たせて続く遺書。それでも最後の最期まで、美しい母と姉を想って死んでいった直治。

哀しくも愛おしいそんな感じを私は直治に受けました。私の太宰のイメージと被ること、被ること。

 

『斜陽』破滅を最も美しく書いた作品。誰も幸せにはならない。しいて言うならかず子が強く生きていくことが示されたことが幸せなのか。

 

文体バラバラ申し訳ないです。